>>1 「シンゾウと争っていたんだろう?」トランプ氏が抱いた石破首相像 会談実現の舞台裏
2025/2/5 18:05 有料会員記事
大島 悠亮
政治 | 政策 石破政権 トランプ新政権
トランプ次期米大統領(左)、妻メラニアさん(右)と面会した安倍昭恵さん=15日、米フロリダ州(メラニアさんのXから、共同)
石破茂首相は7日にトランプ米大統領と初めて対面で会談する。会談実現までには紆余曲折があり、その舞台裏を探った。
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「日本の首相とは、すぐに会った方がいいのか? 彼はシンゾウと争っていたんだろう?」
昨年12月15日に米南部フロリダ州にあるトランプ米大統領の私邸マールアラーゴで開かれた安倍晋三元首相の妻、昭恵さんとトランプ夫妻の夕食会。酒を好まないトランプ氏はコーラをあおりながら、こう疑問を投げかけた。
日米外交筋によると、このときのトランプ氏は石破茂首相の人物像については疎い様子だった。一方で、第1次トランプ政権時に日米のトップ同士として強固な信頼関係を築いた安倍氏にとって、首相は「政敵」だった情報は把握していた。
当時、日本政府は米国との首脳会談の時期を模索している最中だった。その直前の同11月には首相の南米訪問にあわせ、帰国途中に米国に立ち寄って会談する方向も調整。だが、トランプ氏側から「就任前には、どの国の首脳とも面会しない」と説明され、実現しなかった。
昭恵さん同席者「ぜひ会ってほしい」
トランプ氏の問いかけに慌てたのは昭恵さんの同席者だった。
「首相と安倍氏はライバルだった。ぜひ会ってほしい」
そう聞いたトランプ氏は納得した様子で「では、会おう」と回答。「私から彼にメッセージを送るのはどうか」と提案し、その場で首相に贈る写真集にメッセージを記した。夕食会翌日の記者会見でトランプ氏は、首相と早期会談に応じる意向を示した。
1月面会模索も米方針転換で2月に
昭恵さんの訪米は政府と連携した動きではなかったが、結果的に早期の日米首脳会談への道を開くきっかけとなった。日本政府は一時、1月20日のトランプ氏の大統領就任式前の面会を調整。米側からも水面下で「1月11~14日前後なら可能」という日程案が日本側に示された。だが、調整の最中にトランプ氏の日程管理を担当し、大統領首席補佐官に就くことが決まっていた側近のスージー・ワイルズ氏が「これ以上、就任前に他国の首脳と会わない」と方針を転換し、就任後の2月7日という日程に落ち着いた。
日本政府関係者は「早めに会う方がよかったが、結果的に中国より前に、対面での会談がセットできてよかった」と話す。紆余曲折を経てまとまった日米首脳会談。狙い通りに日米同盟の深化を図れるかは、首相の外交手腕にかかっている。(大島悠亮)