● 台湾TSMCのシェアは拡大傾向、日本の半導体装置・部材企業に追い風
※省略
これまで、米国企業は半導体の生産よりも、より効率の良い設計・開発を得意としてきた。それが1990年代以降のIT革命と米国経済の成長を支えた。その半面、生産面で米国のIT先端企業はファウンドリー最大手の台湾積体電路製造(TSMC)への依存度が高まる結果となった。アップルが開発し、TSMCが生産した最新チップの「M1」が「iPad Pro」や「iMac」に搭載されるのはその象徴だ。
TSMCは半導体の「後工程」といわれるプロセスにも参入し、顧客企業の要求に、より良く応えようとしている。そのために、TSMCはわが国の半導体関連技術を必要としている。今後、半導体供給者としてのTSMCのシェアは拡大する可能性がある。半導体の製造装置や部材を生産するわが国企業は、さらなる成長を目指す重要な局面を迎えている。
● ソフトウエア開発が得意な米企業、微細なモノ作りが得意なTSMCは後工程も強化
足元、米エヌビディアやアップルは自社で開発したチップを発表している。エヌビディアが発表したCPU(中央演算処理装置)の「Grace(グレース)」は、回路線幅5ナノメートルのラインで生産される予定だ。委託先は判明していないが、いち早く5ナノメートルのラインを稼働させたTSMCが生産を担うと考える半導体の専門家は多い。その状況は、CPUなどの供給によって世界の半導体産業を総合的にリードしてきた米インテルからTSMCに、半導体産業の盟主の地位がシフトしているように映る。
見方を変えれば、米国企業は、スピーディーにソフトウエアを開発し、新しい発想を実現することが得意だ。それを支えるのが、多様な人種を抱える社会だ。その一方で、確実に動作する微細なモノを作るということに関しては、多様な価値観より組織の集中力が大切だ。その点に関してTSMCが強みを発揮している。
※省略
インテルは設計・開発から後工程までを自社で行う垂直統合型メーカーだ。なお、世界の後工程市場のシェアは、台湾が50%超、中国が約20%、米国が15%程度(2018年)と、ファウンドリー市場と同様に、台湾企業の競争力が高い。それに加えて中国企業もシェアを獲得している。世界経済への半導体供給地としての台湾をめぐる地政学リスクは一段と高まり、IT先端分野での米中対立は先鋭化するだろう。
● 東京エレ、信越化学の技術力をTSMCが欲している
TSMCが後工程分野での取り組みを強化しているのは、半導体生産の総合力を引き上げるためだ。
アップルやエヌビディアは、ファウンドリーのTSMCに生産を委託することによって設備投資の負担を軽減し、利益率を引き上げたい。TSMCが微細化技術の強化に加えて、3次元の封止など後工程の技術を習得し、より小型でデータ処理能力が高く消費電力も少ない半導体の供給能力を高めれば、米IT先端企業はチップの設計・開発のスピードを引き上げ、自社製品の機能向上とエコシステムの拡大を目指すことができる。
つまり、米国企業がソフトウエア分野に注力し、TSMCなどがハードウェア(チップ製造)に注力することによって、理論的には両者が事業運営の効率性向上を目指すことができる。その関係は簡単には変わらないだろう。
重要なことは、国際分業体制の成立と強化を、わが国企業が支えていることだ。半導体の製造や検査に用いられる装置分野では東京エレクトロンやレーザーテックなどが世界的な競争力を発揮している。チップの基盤であるシリコンウエハーの供給面では信越化学が高いシェアを獲得している。後工程に関しても、半導体のパッケージングに用いられるエポキシ樹脂の供給において、住友ベークライトが世界トップだ。また、イビデンはパッケージングに用いられる微細な基盤や配線板に関して競争力が高い。
つまり、半導体産業における国際分業の推進には、前工程と後工程を中心に微細化や3次元封止などを支えるわが国の精密機械や素材を生み出す技術が欠かせない。TSMCが3次元半導体の製造に必要な素材を研究するための子会社をわが国に設けるのは、本邦企業の技術力により良くアクセスするためだ。(続きはソース)
DIAMOND online 5/4(火) 6:01配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20210504-00269809-diamond-bus_all
![【TSMC】「半導体争奪戦」で業界盟主は米国から台湾へ、日本企業が迎える勝負の時 東京エレ、信越化学の技術力をTSMCが欲している [樽悶★]YouTube動画>1本 ->画像>2枚](https://amd-pctr.c.yimg.jp/r/iwiz-amd/20210504-00269809-diamond-000-1-view.jpg)