保護犬・猫の譲渡先を募るため、鳥取市保健所は動画投稿サイト「ユーチューブ」で収容された犬猫の動画を公開している。新型コロナウイルスの感染拡大で譲渡会が開けなくなることなどを見据えた策だったが、動画を見た北陸地方など遠方への譲渡も立て続けに成立。市保健所は「これまでになかったケースで新しい飼い主探しの有効な手段になる」と期待を寄せている。(妻鹿国和)
「撫なでられ緊張の面持ちの猫」「猫じゃらしに動じないモフ毛の白猫」――。
公開中の動画には、このようなタイトルが付いており、保健所スタッフになでられて愛くるしい表情を浮かべたり、甘えてきたりする猫などが登場する。編集を手掛ける市生活安全課の田中学貴主事は「視聴者に『見たい』と思わせるように、サムネイル画像も動画の中から一番かわいい表情を選んでいる」と工夫を明かす。
これまでは、保護犬・猫の写真を、ワクチン接種、去勢手術の有無や「人なつこく体をなでさせてくれます」などのコメントを添えて、市保健所のホームページで紹介していた。ところが、譲り受けに来た人から「実際に触れ合うと印象が違う」という声が上がるなど、ミスマッチが生じることもあったため、職員の間で「動画の方が伝わりやすいのでは」という意見が出ていた。そこで、新型コロナの感染拡大で毎年開催している譲渡会が中止になることも勘案し、6月にユーチューブの公式チャンネルを開設した。
市保健所からの譲渡先は▽譲渡ボランティア▽動物愛護施設「人と動物の未来センター・アミティエ」(鳥取県動物愛護センター)▽一般(個人)――の三つ。例年、3者への譲渡はおおむね同じ割合だが、今年度(10月15日現在)は譲渡成立の猫30匹のうち、約6割にあたる19匹が個人への譲渡で、「ユーチューブを見て希望した」「動画の通りで人なつこい」などの声が多かった。また、例年は鳥取県内からの譲渡希望がほとんどだったが、チャンネル開設後は山形、静岡、富山県などの希望者への譲渡が成立した。
撮影担当で獣医師の最首信和・同課主幹によると、犬猫と十分にコミュニケーションを取り、人慣れしてから撮影することを心掛けているという。PR不足からチャンネル登録者数や再生回数は伸び悩んではいるが、最首主幹は「人なつこく、無邪気な姿を多くの人に見てもらうことが新しい飼い主探しへの力になるはず。飼い主が決まるペースは例年に比べて早くなっている感じがする」と話している。
■譲渡会Zoom活用 コロナ対策
保護犬・猫の譲渡先探しを巡る新型コロナ対策として注目されているのが、動画と異なり、動物たちの反応などをリアルタイムに見ることができる「オンライン譲渡会」だ。
神奈川県では、29日に初開催。同県では、昨年度まで犬は7年連続、猫は6年連続で殺処分ゼロを達成してきたが、県動物愛護センターで月1回開催してきた譲渡会が3月以降、コロナ禍で開けなくなったため、オンラインでの実施を決めた。
当日は、ウェブ会議システム「Zoom(ズーム)」を活用し、同センターや譲渡ボランティアが保護している約100匹(予定)について見た目や性格などを紹介。希望者には後日、センターで直接面会してもらい、譲渡につなげるという。
同センターの上條光喜愛護・指導課長は「初めての試みでどうなるか分からないが、あらゆる手立てで譲渡先を見つけていきたい」と話している。
2020/11/24 10:03
https://www.yomiuri.co.jp/national/20201124-OYT1T50082/
「撫なでられ緊張の面持ちの猫」「猫じゃらしに動じないモフ毛の白猫」――。
公開中の動画には、このようなタイトルが付いており、保健所スタッフになでられて愛くるしい表情を浮かべたり、甘えてきたりする猫などが登場する。編集を手掛ける市生活安全課の田中学貴主事は「視聴者に『見たい』と思わせるように、サムネイル画像も動画の中から一番かわいい表情を選んでいる」と工夫を明かす。
これまでは、保護犬・猫の写真を、ワクチン接種、去勢手術の有無や「人なつこく体をなでさせてくれます」などのコメントを添えて、市保健所のホームページで紹介していた。ところが、譲り受けに来た人から「実際に触れ合うと印象が違う」という声が上がるなど、ミスマッチが生じることもあったため、職員の間で「動画の方が伝わりやすいのでは」という意見が出ていた。そこで、新型コロナの感染拡大で毎年開催している譲渡会が中止になることも勘案し、6月にユーチューブの公式チャンネルを開設した。
市保健所からの譲渡先は▽譲渡ボランティア▽動物愛護施設「人と動物の未来センター・アミティエ」(鳥取県動物愛護センター)▽一般(個人)――の三つ。例年、3者への譲渡はおおむね同じ割合だが、今年度(10月15日現在)は譲渡成立の猫30匹のうち、約6割にあたる19匹が個人への譲渡で、「ユーチューブを見て希望した」「動画の通りで人なつこい」などの声が多かった。また、例年は鳥取県内からの譲渡希望がほとんどだったが、チャンネル開設後は山形、静岡、富山県などの希望者への譲渡が成立した。
撮影担当で獣医師の最首信和・同課主幹によると、犬猫と十分にコミュニケーションを取り、人慣れしてから撮影することを心掛けているという。PR不足からチャンネル登録者数や再生回数は伸び悩んではいるが、最首主幹は「人なつこく、無邪気な姿を多くの人に見てもらうことが新しい飼い主探しへの力になるはず。飼い主が決まるペースは例年に比べて早くなっている感じがする」と話している。
■譲渡会Zoom活用 コロナ対策
保護犬・猫の譲渡先探しを巡る新型コロナ対策として注目されているのが、動画と異なり、動物たちの反応などをリアルタイムに見ることができる「オンライン譲渡会」だ。
神奈川県では、29日に初開催。同県では、昨年度まで犬は7年連続、猫は6年連続で殺処分ゼロを達成してきたが、県動物愛護センターで月1回開催してきた譲渡会が3月以降、コロナ禍で開けなくなったため、オンラインでの実施を決めた。
当日は、ウェブ会議システム「Zoom(ズーム)」を活用し、同センターや譲渡ボランティアが保護している約100匹(予定)について見た目や性格などを紹介。希望者には後日、センターで直接面会してもらい、譲渡につなげるという。
同センターの上條光喜愛護・指導課長は「初めての試みでどうなるか分からないが、あらゆる手立てで譲渡先を見つけていきたい」と話している。
2020/11/24 10:03
https://www.yomiuri.co.jp/national/20201124-OYT1T50082/