米の影響受けないか?見定めつつ日本と交渉へ ロシア
2019年1月22日 5時06分日ロ首脳会談
ロシアのプーチン大統領は安倍総理大臣との首脳会談で、安全保障上の懸念に対する日本の対応など、日本がアメリカの影響を受けずにどこまでロシアとの信頼関係を高めることができるのか見定めながら、交渉に臨むとみられます。
ロシアのプーチン大統領は安倍総理大臣と、平和条約の締結後、歯舞群島と色丹島を引き渡すことを明記した1956年の日ソ共同宣言を基礎に交渉を加速させることで一致し、今月14日にはラブロフ外相が河野外務大臣と会談を行いました。
22日にモスクワで行われる日ロ首脳会談でプーチン大統領は、日本がアメリカから導入するミサイル防衛システムのほか、仮に島を引き渡した場合にアメリカ軍が展開しないかなど、安全保障上の懸念についても取り上げるとみられます。
プーチン大統領は沖縄のアメリカ軍基地の現状を念頭に、日本はロシアとの平和条約交渉でアメリカの意向を考慮せざるをえないのではないかという認識を示し、アメリカ軍が展開しないことの確約を求めています。
プーチン大統領としては、ロシアの懸念に対する日本の対応など、日本がアメリカの影響を受けずにどこまでロシアとの信頼関係を高めることができるのか見定めながら交渉に臨むとみられます。
一方、ロシア大統領府のペスコフ報道官は21日、「どちらも国益を譲るようなことはしないだろう。すぐに解決できるものではない」と述べ、交渉には時間がかかるという認識を示しました。
ロシア世論調査 領土引き渡し「反対74%」
去年11月の日ロ首脳会談で「平和条約を締結したあと歯舞群島と色丹島を引き渡す」とした、1956年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉を加速することで合意したことを受けて、ロシア国内では領土の引き渡しに反対する世論が高まっています。
ロシア側で北方四島を管轄するサハリン州の中心都市ユジノサハリンスクでは、島の引き渡しに反対する集会が先月から今月にかけて相次いで開かれました。
20日には首都モスクワでも北方四島の引き渡しに反対する集会が開かれ、およそ1000人が参加しました。
こうした集会に参加する多くは野党の支持者で、小規模にとどまっているものの、今後はロシア全土に広がる可能性も指摘されています。
さらに22日の日ロ首脳会談の当日には野党 共産党のモスクワ支部がモスクワの日本大使館の前で抗議集会を開くなど、圧力を強める構えを見せています。
ロシアの民間の世論調査会社「レバダセンター」が去年11月に行ったアンケート調査によりますと、北方領土のうちいくつかの島を日本に引き渡すことに「賛成」と答えたのが17%だったのに対して「反対」は74%に上り、4人に3人が反対しています。
ロシアでは以前から日本との関係を強化するため平和条約締結の必要性は認めるものの、島を日本に引き渡すことには反対する意見が根強く、プーチン大統領としては、世論の動向も気にしながら安倍総理大臣との平和条約交渉に臨むことになります。
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