日本電機工業会が24日発表したエアコンや冷蔵庫など白物家電の平成29年の国内出荷額が前年比2%増の2兆3479億円を記録し、20年ぶりの高水準に達した。“日の丸家電”をめぐってはこれまで、三洋電機や東芝が海外勢に押されて相次ぎ白物事業を売却するなど、斜陽ぶりが指摘されてきた。しかし近年は「新三種の神器」などの高価格製品が浸透し、出荷額を押し上げている。
同工業会によると、白物家電の出荷額は2年連続で前年実績を超え、9年の2兆3558億円にほぼ並んだ。高額の洗濯機やエアコンなどが牽引したという。
「メード・イン・ジャパン」の家電はかつて高品質が評価され世界市場を席巻した。だがコスト競争力に勝る中韓勢に市場を奪われ、三洋は24年に中国ハイアールへ、東芝は28年に中国美的集団にそれぞれ白物事業を売却。稼ぎ頭の液晶テレビで完敗したシャープは台湾の鴻海精密工業の傘下に入っている。
各社はこのため「低価格の汎用(はんよう)品では競争にならない」(大手電機役員)として技術力を生かした高付加価値製品にシフト。例えば日立アプライアンスは明確に「プレミアム戦略」を打ち出し、高機能で高額の商品をそろえている。
高機能商品のなかでは、全自動洗濯機▽ロボット掃除機▽食器洗い乾燥機−の“新三種の神器”が家事の時短に貢献するとの理由で好調。量販店で約30万円もするパナソニックのドラム式洗濯乾燥機は洗剤の自動投入やインターネット接続が可能で、衣類を入れておけばスマホによる遠隔操作で外出中でも洗濯できる。
水蒸気で調理するシャープのオーブンレンジ「ヘルシオ」は人工知能(AI)が利用者の好みを学習しメニューを提案する機能が売り。単機能のレンジが2万台で並ぶ中、「約15万円の最上位機種から売れていく」(広報)。いずれの高機能商品も多忙な共働き世帯の家事軽減に役立つことが支持されている。
ただ、成熟した国内市場は今後も買い替え需要しか見込みにくい。新たな牽引役の登場が待たれる中で、パナソニックは家庭向けエネルギー管理システム(HEMS)とスマートスピーカー「グーグルホーム」を連携させ、家電を制御するサービスの提供を始める。こうしたITと組み合わせた新味のある商品が今後どこまで消費意欲を刺激できるかも注目される。(柳原一哉)
