【ワシントン=田中一世】石破茂首相とトランプ米大統領は7日昼(日本時間8日未明)に米ワシントンのホワイトハウスで会談し、共同声明を発表した。米国産の液化天然ガス(LNG)の日本への輸入を拡大する方針を盛り込んだ。日本にとってエネルギー調達先の多角化と安定供給につながり、トランプ氏が掲げる化石燃料の増産方針にも合致する。
トランプ氏は、中国への追加関税など経済関係を利用したディール(取引)外交を仕掛けているが、首相は日米の経済関係は「ウィンウィン」だとアピールしたい考えだ。
共同声明には「米国の低廉で信頼できるエネルギーおよび天然資源を解き放ち、双方に利のある形でLNG輸出を増加し、エネルギー安全保障を強化する」と強調した。
トランプ氏の前任のバイデン政権は脱炭素化を推し進め、LNGの輸出拡大には消極的だった。首相周辺は「バイデン政権で止まっていたことが前に進む。本当にウィンウィンの良い話」と強調した。
日本政府は昨年12月に公表したエネルギー基本計画で「LNG長期契約の確保を促進する」と明記した。背景には、ロシアのウクライナ侵略を受けたエネルギー安定供給への懸念増大と電気・ガス料金の高騰に対する危機感がある。
ただ、LNGは基本的に民間企業同士で契約・取引している。ある経済官庁幹部は「米企業の対応次第だ。日本への安定供給という点では影響が限られる」と語る。首相の提案は、自国の経済的利益を第一に考えるトランプ氏に対する交渉カードの意味合いもある。
2/8(土) 6:50 産経新聞
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