2022年9月上旬、Jタウンネット記者は成田国際空港から圏央道松尾横芝インターチェンジ方面に向かう県道62号線で車を走らせていた。
実はこの道には、ある愛称がある。「芝山はにわ道」だ。
「はにわ」の文字や「はにわ」を模した図柄が目につくこの道をそれて田園地帯を横切り、小高い丘をのぼったところに、記者の目指す場所がある。
その場所とは、「芝山古墳・はにわ博物館」。その入口で、こんな像が待ち構えていた。
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「芝山古墳・はにわ博物館」入口横のモニュメント「武人」(Jタウンネット記者撮影)
鼻が高い、豊かな顎髭をたくわえた凛々しい顔。特徴のある帽子が印象的だ。これが、埴輪?
姫塚古墳で出土したという武人の埴輪をモチーフとしたものらしいが......。
埴輪といえば、人の指のような形で両目と口の穴がポコポコポコッとあいているものや、もうちょっと人間っぽい形のものでも「平たい顔」をしているイメージがある。しかしこれは、彫りが深く、「濃い顔」に見える。
今まで記者が持っていた印象とは程遠い埴輪の姿に、「なんだかおもしろそうだぞ」と期待がふくらむ。入館券200円を購入し、博物館の中に入ってみよう。
高い鼻、幅広の帽子、美豆良(みずら)、顎髭
Jタウンネット記者が「芝山古墳・はにわ博物館」に興味を持ったのは、ある書籍が話題になっていることを知ったからだ。
それは、「発見! ユダヤ人埴輪の謎を解く」(勉誠出版)と「ユダヤ人埴輪があった! 日本史を変える30の新発見」(育鵬社)。どちらも田中英道氏(東北大学名誉教授)の著書だ。これら2冊のキーワードである「ユダヤ人埴輪」を展示しているのが、この博物館だという。
田中英道氏が「ユダヤ人埴輪」と指摘する人物埴輪の特徴は、次のような点だ。
高い鼻、幅広の鍔がついた帽子、耳元の美豆良(みずら)、顎髭
美豆良とは、両耳の脇に長く伸ばしカールさせた髪型とのこと。これがユダヤ人の髪型「ペイオト」と似ているそう。
ここ芝山古墳・はにわ博物館には姫塚古墳、殿塚古墳(6世紀)をはじめ、芝山古墳群から出土した埴輪が数多く展示されているのだが......今から1500年前の千葉に、そんな容貌の人たちがいたとは、驚きだ。
ところで日本で最も古墳の数が多い都道府県をご存じだろうか。田中氏の著書『ユダヤ人埴輪があった』によると、仁徳天皇陵など大型古墳のイメージが強いため、近畿地方に多いと思われがちだが、実は古墳数第1位は千葉県。1万2000基以上があるという。これは奈良県や大阪府よりもはるかに多い。また群馬県、埼玉県、茨城県などでも、多くの古墳が発見されている。顎ヒゲを蓄える人物埴輪は、千葉県の他に、茨城県でも出土しているそうだ。