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キリスト教福音派の信者向けに、アダルトグッズのオンラインショップを立ち上げたカロリナ・マルケスさん。ブラジルのリオデジャネイロ郊外サンゴンサロにある事務所で(2021年11月10日撮影)。(c)DANIEL RAMALHO / AFP
【12月12日 AFP】あるときは医薬品に見せかけ、あるときはパンの配達を装う。
キリスト教福音派の信者を顧客とするポルノショップが広がりつつある
ブラジル──その一つを営むアンドレア・ドス・アンジョス(Andrea dos
Anjos)さん(43)は、商品発送の際、どんなパッケージを使うにしても慎み
深さが肝心なことを心得ている。
バプテスト派の信者でリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)に住むドス・
アンジョスさんは、2019年にアダルトグッズを販売するオンラインショップ
「メモリアス・ダ・クロ(Memorias da Clo)」を立ち上げた。多くの
保守的なブラジルのキリスト教徒が今もタブー扱いしている人生の一部、
つまり性生活のためにデザインされた商品について、福音派の女性が
安心して質問したり、アドバイスを求めたりできる空間を提供している。
同じく草分けのカロリナ・マルケス(Carolina Marques)さん(26)も
1年前、福音派向けのポルノショップ(本人は「ラブストア」という名称を
好む)「コンセンスアル(ConSensual)」をオープンした。
オンラインカタログには、セックス玩具やフレーバー付きの潤滑剤など
「人間関係を補助する製品」が並んでいる。アダルトグッズ販売に付き物の
過激さは一切なくし、そつなく紹介している。顧客がサイトを見ている
ときに誰かが部屋に入ってきても「慌ててノートパソコンを閉じる必要が
ない」ことがポイントだとマルケスさんは言う。
オンラインショップを開設するに当たり、地元の教会の牧師夫婦に
相談したところ「セックスショップ」と呼ぶのはやめたほうがいいと助言された。
「パッケージにも気を付けるようにといつも言ってくれます」
ブラジルの人口2億1300万人の約30%を占める福音派の人々にとって、
慎み深さは最も重要な価値観だ。「私たちキリスト教徒は、いまだ性に
まつわることをタブー視しています。でも結婚生活の中で、配偶者との間
では自然なことでしょう。セックスは子どもをつくるためだけのものだ
という烙印(らくいん)をなくしたいのです」とマルケスさんは語った。
■「罪とは何か?」
マルケスさんのショップでは、性行為中のムードを盛り上げるための
卵形のバイブレーター、綿菓子や「ラブアップル」フレーバーの潤滑剤、
媚薬(びやく)効果のある香水などを扱っている。一方、人工ペニスや
アナルグッズ、自慰のための道具は厳禁だ。「(利用者には)何か悪い
ことをしているような気持ちにはなってほしくないのです」とマルケスさんは言う。
ドス・アンジョスさんは、性にまつわる「罪とは何か」という問いに
答えるために聖書を調べたという。そして「それぞれのカップルが、
自分たちの限度を決めなければならない」という結論にたどり着いた。
ドス・アンジョスさんがこのビジネスを思いついたのは、夫に性的虐待を
受け、別れた後のことだった。離婚後、ポルノショップを訪れた。
「喜びというものを知らない時期でした。でも、店員は男性でした。
性について話すことなんてどうしてできるでしょう?」。福音派の多くの
女性が同じ気持ちを抱いているに違いないと思ったと話す。
仕事では、潤滑剤のトラブルや産後のセックスについて、女性に
アドバイスすることが多い。また、カップルのサポートも行っている。
性体験のないカップルが初めてセックスをする前に、何日もかけて
カウンセリングをしたこともある。「この場合、商品の販売は後回しでした」
マルケスさんのショップの常連となったジェシカさん(24)は、友人にも
アダルトグッズを勧め、何人かは試す気になったと言う。だが、「過激」な
アイデアだと言って拒む友人もいた。
ブラジル各地から注文が来るようになったと言うマルケスさんは、
そうした不安を解消するためにある言葉を使っている。「私たちの体は主の
神殿であり、だから大切にしなければなりません」 (c)AFP/Anna PELEGRI
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