毎日新聞 2021/3/31 20:57(最終更新 3/31 22:38) 2147文字
県子ども支援委員会の担当者に「人権侵害救済申立書」を渡す保護者(左)=県庁で2021年3月31日午前10時59分、坂根真理撮影
2018年まで長野県内の公立中学校の剣道部に在籍した男子生徒(4月から高3)と50代の保護者は31日、当時の剣道部顧問から受けた体罰や差別的な扱いで人権侵害を受けたとして、大学教授や弁護士らで構成する県の第三者機関「子ども支援委員会」に人権救済を申し立てた。県の調査は不十分だったとして再調査を求めており、男子生徒は「2年の月日が経った現在も、辛い経験から立ち直ることさえ難しい」と訴えている。【坂根真理】
申立書によると、男子生徒が中1だった16年10月ごろから元顧問(既に他校に異動)から足や腰などを竹刀で打たれるようになった。次第にエスカレートし、18年に剣道部の主将となった男子生徒や男子部員に対し、元顧問は県大会の直前に練習を禁じた。また稽古(けいこ)をしようと練習場に向かうと「お前らはそこに立て」と並ばせ、女子部員から一方的に技を受ける役割をさせた。
男子生徒は当時の心境について、手記で「3年間部活を頑張ってきたその最後の集大成の場で、排除されたこと、練習ができなかったこと、(女子部員の技を一方的に受けるなど)先生から差別的な扱いを受けたことが、言葉にできないほど、悔しく、辛く、悲しい。体罰や暴言なんかより、ずっと辛いことだった」と振り返る。
他にも、元顧問が県大会直後に危険な技(突き飛ばし)を行い、強い力で突き飛ばされた衝撃でけがをしたり、「馬鹿キャプテン」「このクソが」「ぶっ殺すぞ」「やめてしまえ」などの暴言を浴びたりした。
男子生徒は元顧問への恐怖心を募らせた。「死んだらもう終わりにできる」。下校途中にさしかかった千曲川に架かる橋から飛び降り自殺を図ろうとし、兄に包丁を向けるなど精神的に不安定になっていったという。心療内科を受診した男子生徒はPTSD(心的外傷後ストレス障害)などと診断された。
今回の申し立てをしたのは、県教委や学校側への強い不信感がある。県教委は19年3月、元顧問が防具を付けていない部分を竹刀で複数回叩くなどの体罰を加えたとして、減給10分の1(2カ月)の懲戒処分にした。元顧問は「大会まで残された時間が少なく焦りを感じるようになり、自制することができなかった」と調査に対し話したという。だが、県大会前の練習禁止や、差別的指導は公表されず、男子生徒は「自分たちの正義と名誉は奪われてしまった」と感じた。
保護者は学校側に詳細な説明を求め、何度か話し合いの場をもったが平行線をたどった。県教委に対しては再調査を求める要望書を送付したが、再調査を拒絶された。
申立書では、元顧問による差別的指導などの事実認定や、再発防止のための公表、男子生徒への心のケアなどを求めている。この日、申立書を県の担当者に手渡した保護者は「親も子どもも前に進めない状況。救済申し立てを前に進むきっかけにしたい」と話した。
男子生徒も手記で「2年の月日が経った現在も、この辛い経験から立ち直ることさえ難しい。(中略)県大会へ向かう1週間の部活で起こっていた2、3年男子の排除という事実をありのまま、公に公表してほしい。僕達の正義と名誉を回復してほしい。そして、顧問の先生には、行ったことへの責任をとってほしいと思う」と訴える。
第三者機関は申し立てを受理すれば調査をし、必要に応じて知事や教育委員会に勧告する。今回の申し立てを受理するかどうか今後決める。県こども・家庭課の上条洋課長補佐は「しっかり確認して適切な対応をさせて頂きたい」とコメントした。
続きはソースで
https://mainichi.jp/articles/20210331/k00/00m/040/368000c
![「教師が体罰や差別的扱い」生徒と保護者が長野県に人権救済申し立て [ひよこ★]->画像>1枚](https://cdn.mainichi.jp/vol1/2021/03/31/20210331k0000m040374000p/9.jpg)
県子ども支援委員会の担当者に「人権侵害救済申立書」を渡す保護者(左)=県庁で2021年3月31日午前10時59分、坂根真理撮影
2018年まで長野県内の公立中学校の剣道部に在籍した男子生徒(4月から高3)と50代の保護者は31日、当時の剣道部顧問から受けた体罰や差別的な扱いで人権侵害を受けたとして、大学教授や弁護士らで構成する県の第三者機関「子ども支援委員会」に人権救済を申し立てた。県の調査は不十分だったとして再調査を求めており、男子生徒は「2年の月日が経った現在も、辛い経験から立ち直ることさえ難しい」と訴えている。【坂根真理】
申立書によると、男子生徒が中1だった16年10月ごろから元顧問(既に他校に異動)から足や腰などを竹刀で打たれるようになった。次第にエスカレートし、18年に剣道部の主将となった男子生徒や男子部員に対し、元顧問は県大会の直前に練習を禁じた。また稽古(けいこ)をしようと練習場に向かうと「お前らはそこに立て」と並ばせ、女子部員から一方的に技を受ける役割をさせた。
男子生徒は当時の心境について、手記で「3年間部活を頑張ってきたその最後の集大成の場で、排除されたこと、練習ができなかったこと、(女子部員の技を一方的に受けるなど)先生から差別的な扱いを受けたことが、言葉にできないほど、悔しく、辛く、悲しい。体罰や暴言なんかより、ずっと辛いことだった」と振り返る。
他にも、元顧問が県大会直後に危険な技(突き飛ばし)を行い、強い力で突き飛ばされた衝撃でけがをしたり、「馬鹿キャプテン」「このクソが」「ぶっ殺すぞ」「やめてしまえ」などの暴言を浴びたりした。
男子生徒は元顧問への恐怖心を募らせた。「死んだらもう終わりにできる」。下校途中にさしかかった千曲川に架かる橋から飛び降り自殺を図ろうとし、兄に包丁を向けるなど精神的に不安定になっていったという。心療内科を受診した男子生徒はPTSD(心的外傷後ストレス障害)などと診断された。
今回の申し立てをしたのは、県教委や学校側への強い不信感がある。県教委は19年3月、元顧問が防具を付けていない部分を竹刀で複数回叩くなどの体罰を加えたとして、減給10分の1(2カ月)の懲戒処分にした。元顧問は「大会まで残された時間が少なく焦りを感じるようになり、自制することができなかった」と調査に対し話したという。だが、県大会前の練習禁止や、差別的指導は公表されず、男子生徒は「自分たちの正義と名誉は奪われてしまった」と感じた。
保護者は学校側に詳細な説明を求め、何度か話し合いの場をもったが平行線をたどった。県教委に対しては再調査を求める要望書を送付したが、再調査を拒絶された。
申立書では、元顧問による差別的指導などの事実認定や、再発防止のための公表、男子生徒への心のケアなどを求めている。この日、申立書を県の担当者に手渡した保護者は「親も子どもも前に進めない状況。救済申し立てを前に進むきっかけにしたい」と話した。
男子生徒も手記で「2年の月日が経った現在も、この辛い経験から立ち直ることさえ難しい。(中略)県大会へ向かう1週間の部活で起こっていた2、3年男子の排除という事実をありのまま、公に公表してほしい。僕達の正義と名誉を回復してほしい。そして、顧問の先生には、行ったことへの責任をとってほしいと思う」と訴える。
第三者機関は申し立てを受理すれば調査をし、必要に応じて知事や教育委員会に勧告する。今回の申し立てを受理するかどうか今後決める。県こども・家庭課の上条洋課長補佐は「しっかり確認して適切な対応をさせて頂きたい」とコメントした。
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https://mainichi.jp/articles/20210331/k00/00m/040/368000c