https://mainichi.jp/articles/20200716/k00/00m/040/046000c
会員限定有料記事 毎日新聞2020年7月16日 12時00分(最終更新 7月16日 12時25分)
ガソリンへの引火を抑える薬剤の性能を検査する日本ドライケミカルの技術者=同社提供
「これは防災業界が猛省すべき事件だ」――。京都市伏見区の「京都アニメーション」第1スタジオで1年前に起きた放火殺人事件は、国内トップクラスの消火器メーカーにも衝撃を与えた。スタジオ内にまかれたガソリンは瞬時に燃え広がり、社員ら36人が死亡、34人が重軽傷を負う平成以降最悪の惨事となった。火災はなぜ食い止められなかったのか。今後、同様の事態を防げるのか。事件を機に、新しい防災機器を開発した技術者らの挑戦を追った。
事件は2019年7月18日午前10時半ごろに起きた。殺人や現住建造物等放火などの疑いで逮捕された青葉真司容疑者(42)は、鉄骨3階建てのスタジオに侵入。1階の入り口付近でガソリンをまき、簡易ライターで放火したとされる。
揮発性の高いガソリンが充満し、一気に燃え広がる「爆燃現象」が起きたとみられ、多くの社員らは逃げる間もなく犠牲になった。青葉容疑者は「ガソリンを使えば多くの人を殺害できると思った」と供述。現在は、心理状態などを調べる鑑定留置が行われている。
東証1部上場の消火器メーカー「日本ドライケミカル」(本社・東京都)の技術顧問、高橋宏幸さん(58)は「事件で、自分たちが手掛ける製品が否定されたように感じた」と打ち明ける。
同社は消火器や火災報知機から、石油コンビナートなどの防災設備まで幅広く手がけるが、これまで製品開発で重視してきたのは「発火後にどう対応するか」という視点だった。しかし、ガソリンはひとたび火がつけば爆発的に燃え広がり、なすすべもな…
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会員限定有料記事 毎日新聞2020年7月16日 12時00分(最終更新 7月16日 12時25分)
![京アニ事件 消火器メーカーの「猛省」 ガソリン引火防止へ技術者どう挑む [ひよこ★]->画像>1枚](https://cdn.mainichi.jp/vol1/2020/07/16/20200716k0000m040069000p/9.jpg)
ガソリンへの引火を抑える薬剤の性能を検査する日本ドライケミカルの技術者=同社提供
「これは防災業界が猛省すべき事件だ」――。京都市伏見区の「京都アニメーション」第1スタジオで1年前に起きた放火殺人事件は、国内トップクラスの消火器メーカーにも衝撃を与えた。スタジオ内にまかれたガソリンは瞬時に燃え広がり、社員ら36人が死亡、34人が重軽傷を負う平成以降最悪の惨事となった。火災はなぜ食い止められなかったのか。今後、同様の事態を防げるのか。事件を機に、新しい防災機器を開発した技術者らの挑戦を追った。
事件は2019年7月18日午前10時半ごろに起きた。殺人や現住建造物等放火などの疑いで逮捕された青葉真司容疑者(42)は、鉄骨3階建てのスタジオに侵入。1階の入り口付近でガソリンをまき、簡易ライターで放火したとされる。
揮発性の高いガソリンが充満し、一気に燃え広がる「爆燃現象」が起きたとみられ、多くの社員らは逃げる間もなく犠牲になった。青葉容疑者は「ガソリンを使えば多くの人を殺害できると思った」と供述。現在は、心理状態などを調べる鑑定留置が行われている。
東証1部上場の消火器メーカー「日本ドライケミカル」(本社・東京都)の技術顧問、高橋宏幸さん(58)は「事件で、自分たちが手掛ける製品が否定されたように感じた」と打ち明ける。
同社は消火器や火災報知機から、石油コンビナートなどの防災設備まで幅広く手がけるが、これまで製品開発で重視してきたのは「発火後にどう対応するか」という視点だった。しかし、ガソリンはひとたび火がつけば爆発的に燃え広がり、なすすべもな…
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